ボックスボブは76年にビダルサスーンから発表された作品ですが、このスタイルをカットしたのは、今や日本の美容師の大御所である川島 文夫氏です。70年代初頭、世界中から腕に覚えのある美容師が、たくさんサスーンの門をくぐりました。
その中には当然日本人も多数いたと思うのですが、世界中にヒットするような作品を残せたのは僅かの人たちで、日本人では川島文夫氏だけではなかったかと思います。
「当時オリエンタルブームだったので、ただその風潮に乗っただけ」と川島氏は謙遜しますが、まるでアルミニウムの塊から削り出したかの様な、なめらかで強い光を放つ「ボックス・ボブ」は名作「ファイブポイント」から「シンプル イズ ビューティフル」の流れを受け継ぎながら、そこにエキゾチックな味付けをした、サスーン哲学の東洋的解釈とも言えるような優れた作品である事は間違いありません。