まず、①を見てください。 何の変哲もない正三角形と正四角形ですね。
シンメトリー（左右対称）でバランスのとれた形は、安定感や信頼感を人の心にもたらします。
身近な例をあげると、日本人ならみんな知っている、あの国会議事堂がまさにこれですね。
国会は、この国の未来を決める大切な場所ですから、どっしりと落ち着いて信頼できる場所でなければなりませんからね。
しかし、皮肉なことに実際の国会はいつも大揺れで、とても、安心していられないのが悲しい現実です。
すみません。 わき道にそれてしまいました。
安定した形は静的な美しさはありますが、見方を変えれば、変化がなくて退屈とも言えます。
②を見てください。①のバランスを変えてみました。
形としては①よりは面白くなったと思いますがバランスが取れてないので、左から少し押せば簡単に倒れてしまいそうです。
このような形は人に不安感を与えます。
では、この形に、いかにしてバランスを取らせるかと言うと、③のように三角形には底辺以外にそりをつけると矢印のような重力に逆らう力感が生じ安定します。
四角形には、もうひとつ左に倒れそうな四角形を付ければ、互いに支えあうので安定します。
①のように左右対称で静的な形をフォーマルバランス、③のような左右非対称の形をインフォーマルバランスと言います。
まず、左の上2つのスタイルを見てください。
左側はいわゆる、ワンレングスボブですね。シンプルな美しさはありますが、単調で物足りなさも感じます。
右側はワンレンボブを横分けにして片方だけをショートにしました。
多少面白くはなりましたが、バランスが崩れて、今にも髪の長いほうへ傾いてしまいそうです。
これらの問題に対する1つの答えが、下のイラストです。
ワンレンボブにはハイライトを入れ、一定間隔のリズムを与えました。
片方ショートのスタイルは長いほうにレイヤーを入れて空気感を出し、矢印の方向に力感を生じさせ、さらに短い方に大きなイヤリングをつけました。
いかがですか？2つともだいぶ良くなったでしょ。
このように「フォーマルバランスにはリズムを、インフォーマルバランスには力感を」と言うのがデザインの基本的な考え方です。
先に述べた国会議事堂もギリシャ様式の柱や、あるいは窓でリズムを作り出し、単調さを打ち消しています。