ジオメトリックカットとは、特定のヘアスタイルをさす言葉ではありません。60年代にビダルサスーンが、独自のヘアカットのやり方で発表したいくつかの作品を総称してそう呼ばれます。
サスーンが登場する以前のヘアスタイルはピンカールやカーラー巻きなどのセット技術によって作られており、ヘアカットは、あくまでセットをしやすくする為の補助的な技術であったために、あまり重要視されてはいませんでした。
しかし、女性の社会進出と共に、出かけるたびに美容室にセットしに行かなくてはならないセットヘアよりもっと手軽にできるヘアを求めていました。
乱れても、頭をふればピタリと元のスタイルに戻るサスーンのヘアカットは、時代の欲求と合致し広く社会に受け入れられました。
ちなみに、ジオメトリックとは幾何学的という意味で、骨格を研究し、ミリ単位までこだわり、精密ににヘアカットするサスーンのやり方に、まさにぴったりの呼び方です。
ジオメトリックカットは半世紀を経た現在でも、ヘアカットの基礎として生き続けています。
※ビダルサスーンについてはヘアとファッションの歴史（60年代）で詳しく解説しています。