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「イラッシャイマセ」が、やがて世界を席巻する？
かつては、優秀な技術力で「壊れない、長持ちする」と世界中で好評を博していた電器製品を中心とする日本製品ですが、最近は急成長してきた中国、韓国、台湾などに猛烈に追い上げられ、世界第２位の経済大国の座を中国に明け渡し、ああ日本経済はこのままじりじりとしぼんで行くしかないのかと悲観していたら、まだまだ日本には強力な武器が残っていました。
その強力な武器とは、日本のサービス業です。
海外旅行に行ったことがある方なら少なからず感じたことがあるでしょうが、たとえそこが先進国であったとしても、サービス業に携わっている人のお客様に対する態度は、日本のそれに比べるとかなり見劣りします。
「いらっしゃいませ」が表す日本の顧客に対する姿勢
以前聞いたことですが、英語には日本語の「いらっしゃいませ」に対応する単語はないそうです。
私が考えるに、西洋的合理主義では、人が単に店内に入ってきただけでは、まだその人が商品やサービスを購入するかどうかは分かりません。
つまり、その段階ではまだ「お客様」ではなく、単なる「人」にしかすぎないので、わざわざ声をかける必要はないと言う考えなのではないでしょうか。
うって変わり日本では一歩店内に足を入れた瞬間、オーナーはもとより従業員全員が声を揃え「いらっしゃいませ」でお出迎えしてくれます。
商品やサービスの購入前にまず、「この店を選んで来店してくれてありがとうございます」と礼を言うのが日本の考え方なのです。
そんなものは序の口で、「顧客の満足のためには、法に触れない限り何でもやります」と言うかのごとく最近日本のサービスは急激にその質を上げてきており、同じサービス業の私でさえ驚くことがあります。
例えば、スーパーや１００円ショップのレジの女性は会計が終わると、両手をきちんとお腹のところで重ね「ありがとうございます」と深々と頭をさげてくれるし、ドラッグストアなどでもレジに少しでも行列が出来ると、他の仕事をしていた人がその仕事を放り投げ２番目に並んでいるお客のカゴを持ち「コチラへどうぞ」と閉まっていたレジを開けてくれます。
さらに、地元で有名なスーパーでは客が持ち込んだ魚を、綺麗に３枚におろしてくれ商品と変わらないようにパックしてくれます。それも無料で。
例を挙げればきりがないほどで、まるで「痒いところへ手が届く」を超え、「痒くなる前にかゆみ止めを塗ってあげる」ほどのハイパーサービスです。
一昔前の一流ホテルや航空会社でしか行われていなかった手厚い顧客サービスが、末端のスーパーや小売店にまで浸透しているのが今の日本の状況であり、世界広しと言え、ここまで出来るのはおそらく日本だけでしょう。
物を輸出する時代からサービスを輸出する時代へ
この事に気付いた先見の明がある人たちは、すでに海外進出を積極的に進めており、多くのサービス業が成功しているようです。
身近なところでは1.000円カットの「ＱＢハウス」は香港で大好評で「ＧＢハウス」や「ＵＢハウス」などの模造店まで出てきている有様です。
「えっQBハウスってサービスを極限まで削る事で低料金でやっているのではないの？」と思いますが、一定レベルの技術を短時間で低料金で提供すると言う事も、立派な顧客サービスであると認められているのでしょう。
世界から見た日本人のイメージの変化
以前は外国人（特に欧米）から見た日本人のイメージは、小さくてメガネをかけ笑顔ではあるが何を考えているかわからないと言うマイナスなイメージだったと思います。
しかし、東日本大震災で被災した人たちが略奪など一切行わず、少ない食料を分け合い、皆で協力して困難を乗り越えようとする様子や、ワールドカップで日本人サポーターがゴミ拾いをしている様子が報道されると「日本人はすごい、自分たちにはとてもできない事だ」と驚嘆し、「日本人は礼儀正しく真面目で、その上とても辛抱強い」と言うようなプラスイメージに変化しているようです。
この様に日本人のイメージが良くなった事も海外進出の追い風になっているのではないでしょうか。
どうやら今、サービス業には大きなチャンスが来ているようです。
外国で事業を展開するとまで行かないまでも、ただ仕事をするだけでも言語をはじめ、様々な困難があることは容易に想像できます。
しかし、どれも決して越えられないほど高い壁ではないでしょう。
長いことアメリカに住んでいる友人は、日本人美容師は仕事がとても丁寧なので人気があると言っていました。
そう遠くない将来、どこの国に行っても日本で馴染みのある店の看板があちこちにあり「irasyaimase」が世界共通語になっていると言う日が来る気がします。
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