AGAやストレス、過激なダイエットなど薄毛になる理由は様々ですが、男女に関係なくほとんどの人が経験するのが「加齢による薄毛」ではないでしょか。
若い頃は多くて、持て余すくらいだった髪が、ふと気が付くと随分少なくなっていると言う経験は、ある程度の年齢の方に共通する悩みではないでしょうか。
髪に関しては命にかかわるものではないため、今まであまり研究されておらず、薄毛になるメカニズムははっきりしていませんでした。
しかし、この度「加齢による薄毛」に関して東京医科歯科大などの研究チームがそのメカニズムを解析する事に成功しました。
西村栄美教授によると、簡単に言えば毛を作る細胞を生み出す「毛包幹細胞」のDNAが老化による傷で脱落して行くためだそうです。
もう少し詳しく説明しましょう。
ヒトの毛髪には毛周期(ヘアサイクル)があり、3〜5年で毛髪は新しい毛髪に生え変わります。
その際に毛包幹細胞が、毛周期ごとに分裂して自己複製すると同時に毛になる細胞を供給するのですが、加齢により自己複製しなくなり、毛をつくる細胞を生み出す代わりに、表皮の角化細胞へと運命を変えたのち、皮膚表面から落屑する、つまりフケや垢として脱落していくことがわかりました。
これにより毛包自体がミニチュア化し、生えてくる毛髪も細くなり、やがて毛穴自体が消失してしまいます。
なぜこのような事になるのかを調べる為、働かなくなった毛包幹細胞を調べてみると、同細胞を保護する役割がある蛋白質の「17型コラーゲン」が、DNA損傷応答で誘導される酵素「好中球エラスターゼ」によって分解され、これによって毛包幹細胞が幹細胞性を失って表皮角化細胞へと分化するようになっていました。
ではこの「17型コラーゲン」を飲むなり塗るなりして補えば良いのかと言うと、残念ながらそのやり方では効果はないらしく、西村教授によれば「17型コラーゲンの枯渇を抑える物質が見つかれば、薄毛の治療薬になる。
数年以内に候補物質を探し、10年以内には実用化したい」と言う事です。
もう少し時間がかかりそうですが、「歳と共に薄くなる毛髪」は過去のものになる日がやってきそうです。
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