ステップ4 代償作用の範囲を予測する
血液のpHが、正常値よりアルカリ側もしくは酸性側に傾くと体はpHバランスを取るために肺(CO2の排泄)と腎臓(HCO3
ーの量)を調節する事を代償と言いますが、この代償の程度が適切であるかどうかを計算します。
計算で求めた数値と、実際に計測した数値に開きがある場合は、別の原因による酸塩基平衡障害があると考えられます。
なお式の中のΔは正常値との差を表しています。
〇呼吸性アシドーシス ΔPaCO2=1.2×ΔHCO3
ー
〇代謝性アルカローシス ΔPaCO2=0.7×ΔHCO3
ー
※上記の2つの式で求めるのはPaCO2の正常値との差なので、式で出た値にPaCO2の正常値(40±5)を足した値と実際の測定値を比べて、差が±5の範囲内になければ、混合性酸塩基平衡障害と判断します。
腎臓による代償作用は数日かかり、急性と慢性では代償の程度が異なるので以下の式を使います。
〇急性呼吸性アシドーシス HCO3
ー=0.1×PaCO2+21
〇慢性呼吸性アシドーシス HCO3
ー=0.35×PaCO2+11
〇急性呼吸性アルカローシス HCO3
ー=0.2×PaCO2+17
〇慢性呼吸性アルカローシス HCO3
ー=0.5×PaCO2+5
この4つの式は平常値との差ではなくHCO3
ーの値を求めるので、計算での値と測定での値をそのまま比較して
開きがあれば別の原因による酸塩基平衡障害があると考えます。
※これらの6つの式を暗記できるに越したことはありませんが、無理して覚えず、メモなどしておき必要な時に分かるようにしておけばOKです。
ステップ5 総合的な判断を行う
ステップ1〜4までで得られた情報と、既往歴、他の検査データ、バイタルサインなどで病態を把握したうえで、治療法やケアを決定します。
血液ガスを理解するための用語解説
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HCO3ー PaCO2 PaO2 SaO2 BE
酸 塩基 分圧 アシデミアとアシドーシス、アルカレミアとアルカローシス
サチュレーション