レイヤーカットの基礎

グラデーションカットが、上に行くに従い髪の長さが長くなるようにカットして、髪を下ろした時に幅が狭い緻密な段差が付くのに対して、上に行くに従い髪が短くなるようにカットして、下ろした時に幅が広い段差を付けるようにカットするのがレイヤーカットです。

ちなみに、上と下の長さを同じにカットするのはセイムレイヤーと言い、これもレイヤーのグループに入ります。

要約すると、髪を縦スライスで取り出したとき、下から上に向けて長くなっているのがグラデーションカットで、上と下が同じ長さか、上向かって短くなっているのがレイヤーカットと言う事になります。

では、レイヤーカットをする事によりヘアスタイルはどの様に変化するのかと言うと、一番解りやすいのは見た目が軽くなると言う事ですが、その他にも特徴があります。

極端に言えば、ワンレングスやグラデーションカットは、髪の動きを出来るだけ抑制し、たとえ動いても速やかに元の位置に戻るようにした「静的な美しさ」をつくる技法なのに対し、レイヤーカットは髪に自由さを与え、豊かな表情を出す事を目的とするカット技法とも言えるでしょう。

レイヤーカットは単独で用いる事より、ワンレングスやグラデーションと組み合わせて使うことも多く、どうしても単調になりがちな、グラやワンレンに華やかさを付与する事ができます。

簡単で、難しい?レイヤーカット

たとえばグラデーションボブは、一部分を5mmでも切り方を失敗すれば、すぐに判ってしまいますが、ロングの髪にたくさんレイヤーを入れるようなカットならヘムラインでなければ1cm以上長さが違ってカットされていてもそんなに目立ちません。
また、パネルの厚さもグラデーションカットの倍くらい取る場合もあり、カットの工程もそれだけ少なくなるので、そういう意味では簡単とも言えるでしょう。


しかし、たとえばネープの長さが50cmある髪に、トップの長さは20cmに設定して、あとは自由にレイヤーを入れなさいと10人の美容師に指示したら、10通りのレイヤーカットが出来上がるでしょう。

この様に、レイヤーカットはとても柔軟性があるカットなので、初心者にはかえってつかみどころが無く、逆に難しく感じるかもしれません。

レイヤーのベーシックスタイル

そんな、つかみどころがないレイヤーカットの基本的なカットスタイルと言えば、全体を同じ長さにカットするセイムレイヤーと言う事になるのでしょうが、「これが基本的なセイムレイヤーのカットのやり方」と言う絶対的なものはないので、ある人はネープから切り始め、別のある人はトップからと言うように実に様々な「基本的なセイムレイヤーのカット」があるのが現状です。

そんな訳で、私なりに一番解りやすいと思えるセイムレイヤーのカットのやり方を紹介します。
そして、出来るだけセイムレイヤーの切り方に近いやり方でローレイヤーとハイレイヤーの切り方も紹介したいと思います。

これを参考に、「自分ならもっとこうする」と思ったなら、どんどんカスタマイズして行ってください。