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酸を排出する2つのメカニズムー緩衝と代償 

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緩衝(かんしょう)とは


体内で産生される酸には、炭水化物や脂肪の燃焼で生じる揮発性酸(炭酸)とたんぱく質の代謝で出来る不揮発性酸(リン酸や硫酸など)に分けられます。

揮発性酸(CO2)は血液中に排泄されHとHCO3に電離した形で肺に運ばれ排出されます。

もし、肺の換気が悪くなり、血液中にCO2が溜まると血液のpHが下がり酸性に傾いてしまうので、これを補正するため肺は呼吸を早くしたり、深くしたりして血中CO2の濃度を下げます。

一方たんぱく質の代謝で出来る不揮発性酸は強酸なので、そのまま血中に排出されると、血液は大きく酸性に傾き危険な状態になってしまいます。

そうならないために腎臓は重炭酸イオン(HCO₃⁻)を産出し、不揮発性酸のH⁺(水素イオン)と結合させ、H₂OとCO₂と言う形にし、H⁺のみを尿中に排泄し,元のHCO₃⁻に戻りリサイクル(再吸収)されます。

このようにH⁺(水素イオン)が産出されても腎臓が重炭酸イオン(HCO₃⁻)を産出し血中のpHを一定に保とうとする働きを緩衝(かんしょう)と言います。

代償とは


血液のpHを一定に保とうとする働きは緩衝だけではなく、もう一つ代償と呼ばれるものがあります。

血液のpHは血液ガス内のPaCO2(動脈血二酸化炭素分圧)と腎臓から産出されるHCO₃⁻(重炭酸イオン)の比率で決まるのですが、例えば過呼吸などでCO2が多く排出されるとPaCO2値が下がり、HCO₃⁻の値は変わっていなくとも、正常な比率が崩れ血液のpHはアルカリに傾きます。
この状態をアルカレミアと言います。

逆にCOPDなどで血中のCO2が増えればHCO₃⁻の値は変わっていなくとも正常な比率が崩れpHは酸性に傾きます。
これをアシデミアと言います。

このようにPaCO2とHCO₃⁻の比率のバランスが崩れた場合、例えばPaCO2のみが増えてしまったら体は呼吸を増やしてPACO2を減少させるとともに、腎臓はHCO₃⁻の再吸収を増加させます。
この二つの働きを代償と言います。


ただし、呼吸による代償はすぐに起きますが、腎臓による代償は数日かかり、pHバランスが正常に戻っても数日は続きます。

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 目次


1 酸を排出する2つのメカニズム「緩衝」と「代償]

2 血液ガスデータの種類と覚え方

3 血液ガス異常 4つのパターン

4 実際の血液ガスデータの読み方①

5 実際の血液ガスデータの読み方②

血液ガスを理解するための用語解説

※新しくウィンドウが開きます

HCO3   PaCO2   PaO2   SaO2   BE

   塩基   分圧   アシデミアとアシドーシス、アルカレミアとアルカローシス

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